第六話:運命の期日

21    その日、ヴァルサスが二限を終えてテラスに来るとそこにはテーブルで泥のように眠るキリヤナギがいた。  誰かが歩いてくる音にも、椅子をひいた音にも全く反応を示さない彼にヴァルサスは起こすべきか数十分悩む続きを読む

第五話:仮初の貴族

17    朝だった。晴天が続いていたオウカ町はその日は曇りの雨予報だ。  キリヤナギは普段通り鈴付きの目覚ましで目覚め、顔を洗い、着替えてリビングへと出てゆく。  朝食の匂いがするリビングでは、テレビがついて続きを読む

第四話:神への反抗

13  キリヤナギは緊張していた。学生選挙の立候補者の募集がおわり、学院は新たな生徒会長を選びに活気で溢れている。  ハイドランジア公爵令嬢、シルフィの派閥へ参加する事を決めたキリヤナギだが、役職を彼女へ相談したところ、続きを読む

第二話:マグノリアの花

5  王宮のキリヤナギの居室フロアへ集う彼らは、緊張した様子で1人の貴族を迎えていた。  その日迎えられた貴族はカナト・アークヴィーチェ。隣国ガーデニアより現れた外交大使の嫡男だ。  彼は自身のトランクケースともう一つ、続きを読む

*第一話:ー序章ー

1  そこは大陸だった。  星に幾つもある陸地の一つにあたる広大な大地。中央の山脈から流れる幅1キロ程の川に分断される大陸は、その両側へ巨大2つの大国が存在する。  東側は、王族を神の末裔として信仰する国。オウカ。  西続きを読む